海外の制度

GPA制度に関連する国際調査

GPAは日本で広く導入が進んでいる制度であるが、国際規模で実施された調査も今迄は殆ど報告されて来なかった。
その様な状況を踏まえ、ここでは2009年に筆者が実施した国際調査の結果報告について述べる。

 

1.調査方法

アメリカ合衆国、欧州、アジア・豪州の3地域を対象に1,000大学を抽出し、文書によるアンケート調査を行った。欧州については2割を英国、約3割をフランス、ドイツ、イタリアにあてた。アジア・豪州については、約半数を中国、台湾、香港にあて、1割を豪州にあてた。イスラエルの大学も若干含み、日本は含まれていない。

 

2.結果

調査対象大学1,000校に対し、総回答数は311校であった。3領域別の回答数で見ると、合衆国が33.0%、欧州が29.3%、アジア・豪州・イスラエルが29.0%であった。

 

「大学全体でGPA制度を運用している大学」は全体の66.8%であった。
回答のあった米国の大学(165校)においては、全ての大学でGPA制度を運用していた。
次に運用状況が高かったのはアジアであり、44回答中90.9%の大学で運用されていた。
このことにより、米国の大学ではGPAが一般化していること、そしてアジアの大学の制度規範が欧州よりも米国の大学に置かれていることが分かる。
2008年時点での日本の大学での運用状況は約46%である。

 

欧州での運用状況は他の地域に比べ低く、21.6%であった。
その他の評価指標を採用しているとの答えが多く、ECTS(European Credit Transfer and Accumulation System)に準拠した制度を取っているとの回答が多かった。
ノルウェーやスロバキア、ハンガリー、ポーランドなどEU非加盟もしくは新規参入国ではGPAの導入が見られた。

 

レターグレード(LD)の規定の仕方については、10段階以上の等級評価を実施している大学が全体の半数以上(57.0%)を占めていた。
GP最大値とLGを対応させた刻み方は各国で個性が見られた。

 

GPの算定方法としては、一般的な
GPA=(履修科目のGP×当該科目の単位数)の総和/履修総単位数
に乗っとり算出している大学が全体の93.9%と高い数字であった。
不合格科目をGPA算定に含めているかどうかについては、含めているとした答えが米国で84.2%、欧州で31.6%、アジアで85.0%、豪州で60.0%であった。

 

履修単位の上限を設けているかについては、設けている大学が米国で72.1%、アジアで81.8%、欧州で36.4%、豪州で25.0%であった。

 

以上の調査により、米国だけに関わらず日本を除くアジア諸国でもGPA制度が約9割の大学で運用されていること、一方欧州ではECTSが主流であることが分かった。
また米国ではGP最大値が4とすることが標準となっているが、それは最高位のLG評定を弁別しきれないという不合理性を含むものだということが分かった。
一方、アジアでは最高位のLGには正当なGPを充当させ、GP最大値を4としない現象を広範に見出すことができた。
更に、日本の大学で一般に見られる100点満点での成績評価は、米国の大学では一般的ではないが、アジアでは68%の大学で行われており、少なくともアジアにおいてはこの素点成績に対応したGP算定方法が通用する基盤があることを確認できた。

 

参考文献

『GPA制度の研究』(半田智久 著)