GPAを機能させろ!

GPA制度の導入にあたって

GPAは、2010年の時点では国立大学で約7割、私立大学で約5割の導入がみなされ、今後もその勢いは止まらず、近い将来、全般化に至ることが予想される。
しかしその手軽さから、GPAの本質が理解されていなかったり、実質的に活かされていなかったりする場合も多くみられている。
ここでは、GPAの機能の本質を改めて確認し、加えてその特性の発揮を阻む諸問題点とその修復方法、更には整備課題について述べる。

 

GPA制度導入にまつわる問題点

GPAは素点成績に基づいて求められる厳格な評価指標であるが、その機能を十分に発揮する為には、当然その数値の算定方法が適切であることが必要不可欠である。
現在、導入に際しての最も大きな問題が、その算定方法である。
これは多くの場合、GPA算定に曖昧さを含むレターグレード(LG)を介しているということに原因がある。
元々の素点は連続した量評価かつ間隔尺度、それに対しLGは順序尺度である。異質の尺度カテゴリー間において変換を反復するとひずみや誤差が生じ、GPAによる成績順位と素点に準じた原成績評点の順位とが一致しなくなってしまう。

 

2.解決方法

従って、変換方法としては、レターグレードを介さず、成績素点評定(Test Score)から直接、一次変換的にGPを算出するのが望ましい。
GP=(TS-X)/10
ただし、GPが0.5未満の場合はGP=0.0とする
X=55の場合、成績評点は100点が満点で不合格区間は60点未満である。
この方法によれば、GPの順位は完璧に、原成績順位を保持したものとなる。
この様により厳密性を増し、機能性を増したGPAをfunctional GPA(fGPA)と呼ぶ。

 

シミュレーション検証によると、X=55が最も、現在各大学にて算定されている方法(LG媒介法と呼ぶ)との誤差が少なく、移行への負荷が少ないことが分かった。
また、素点評点に小数を使わないのであれば、X=54.5を使用した方が更に誤差は小さくなる。
因みに、原成績合格域100〜60点をそのままGP4.0〜1.0に線形変換する方法(直接法: GP=(TS-60)×0.075+1で表される)も検証してみたが、これは順位が両端に行くほどLG媒介法との誤差が大きくなった。
従って、X=55法が従前の方法と最も互換性が高くて移行がしやすく、かつ厳格にGPA順位を保持できる方法と考えられる。

 

3.整備課題

fGPAの効果がいかんなく発揮される為には、以下のような付帯的な条件整備も必要である。

  • 科目間における単位数格差の是正
  • 履修における学生の自己決定力・自己責任力の向上支援
  • 学生による履修取り消し申請への配慮(科目を選ぶ期間の選定やクーリングオフ制度)
  • 習熟度クラス編成に基づく科目のベンチマーク分け(難易度の高いクラスを履修した場合にはグレードを付与したり、単位数にウィエイトを乗じたりする)
  • 必修科目の意義の見直し(学生視点での科目ニーズの見直し)
  • 再履修の場合のGP計算(不合格を計算に加味するか、ペナルティを与えるか、不合格の改善を評価するか)
  • 卒業論文などの合否の二値評価のみであった科目におけるfGPAによる詳細評価
  • 自由科目でのGPA評価の適用
  • 学生へのGPAシステムの開示

 

以上の整備を元に、fGPAによってもたらされる学生の修学パフォーマンスの更なる向上を期待するところである。

 

参考文献

『GPA制度の研究』(半田智久 著)