GPAの問題点

GPA制度の現状の問題点

GPA制度の導入により、新たに出てきた問題としては、以下の事柄が挙げられる。

 

GPAの導入により、科目間の評価基準の差異が顕著になった

2004年に47大学から回答を得たアンケートの結果、最も多かった問題点が科目間の評価基準の差異である。
それまでは、科目ごとに教員が成績を評価し、科目間で統一された基準が乏しく、成績評価に不合理性や曖昧さが生じ、評価する側の裁量も加わっていた。
しかしGPAとは、ひとつの値に学生の全てのパフォーマンスが現れるシンプルかつ統合的な指標であり、そこに何らかの不合理性が含まれていれば、やはりその点が明確に浮きだってしまう。
つまりは、GPAの厳格な評価論理の中では、学生の評価が反転して評価者自身の評価となりうる。
今後は、科目間での評価分散を是正し、評価を公平なものとする調整が必要となってくる。

 

GPAに対する教員の認識不足

GPAは、1998年を境に導入が始まったまだ使われ始めて間もないシステムなので、依然として教員による無関心や認識不足は指摘されるところである。
これについては、GPC(ある科目についての全履修生のGPを成績評価対象者数で割ったもの)を科目ごとに算出して教員にフィードバックし、GPAにまつわる情報を広く公開をすることで、教員の認識も高まっていくと考えられる。
またファカルティ・デベロップメントの文脈での活用や、シラバスの改善と連動させることにより改善が期待できる。

 

学部間での成績評価の差異

これも上記で述べた科目間の問題と通じるところがあるが、従来の評価方法の元では、例えば文系と理系での成績評価の設定仕様が異なっているという場合が実際にあった。
因習的に、理科系の授業は難しいといった一般通念がある為に、理系教員は基準をあらかじめ低く設定するという傾向もあった。
しかし、全学統一基準のGPAを導入すれば、明らかにこの差異は白日の下にさらされ、学部間での不公平感が増してしまう。
これはGPAそのものの問題ではなく、それよりも根底にあった成績評価法にまつわる不合理性の問題であるが、GPA導入に伴いその改善はおのずと必要となってくる。

 

大学の父権温情的な配慮

GPAの導入が始まる前の頃までは、大学は言わば限られた人の為の場所であり、社会から隔絶された環境で大学が独自の方法で学生を教育し、学生はのんびりと修学するという様な場所であった。
その様な中、不合格科目という学生に不利な情報をわざわざ成績表明で開示しないという大学側の言わば父権温情的な配慮も存在していた。
しかし、GPAを導入すれば、この学生のデメリットも成績にはしっかりと記載されてくる。
時代は変わってきており、全ての人への大学へと変化している。
全ての人に対し、平等で明確な評価法が望まれている。
GPAの導入と時を同じくして、大学側の意識も変換の時期に来ている。

 

素点原成績とGPとの尺度変換

GPAはまず、満点を100点としたレポートやテストの出来栄えによる素点成績に、GPを対応させることが算出の第一段階である。
大学は、例えば100〜90点、89〜80点、79〜70点、69〜60点、60未満に点数を分け、各素点成績区間というものを設ける。
この素点成績区間をどの様な範囲にし、不合格ラインはどこに設定し、どういったルールでGPに変換するかという定義づけはGPAの基幹部分である。
この問題は、GPAが日本に導入されて日が浅いということで、まだあまり議論されていない。
しかしこの問題点を避けてGPAの発展はあり得ないので、今後この問題は各大学にて早急に解決すべき問題と言える。

 

参考文献

『GPA制度の研究』(半田智久 著)