GPA制度の前は…

GPA制度の前の制度と問題点

GPA(Grade Point Average)とは、1998年の大学審議会の答申の中で例示として挙げられ、以降急速に今日の大学における成績指標として広がりつつある評価方法である。
GPAを用いれば、その学生が履修した全科目に渡る成績のパフォーマンスを明確に指標化し、更には在学中の履修態度、修学状況、行動特性をも表すことができると期待されている。

 

元々GPAは米国の大学で発達した制度であるが、敗戦を期に我が国にも導入されてきた。
特に1998年頃がその導入ブームと見られている。その後は毎年切れ目なく導入する大学が相次ぎ、2004年に日本全国の大学576校を対象に行われたアンケートによると、国立大学を中心に約31%の大学で導入されている。

 

GPA導入前の評価方法としては、科目ごとのレターグレード(秀、優、良、可、不可や、S、A、B、C、)による評価方法が行われていた。
これは、学則や学部規定に基づき、試験やレポートなどの諸段階に基づく100点満点からなる「素点成績」により付与される。

 

また、各科目には単位数が設定されているが、その単位数は卒業条件を定めるにとどまり、各学生の成績には反映されてこなかった。
そして、不合格科目があっても成績には反映されず、最終的な卒業証明にも記載されることはなかった。

 

以上のことから、各学生においては、卒業条件を満たすだけの為にやみくもに多い数の科目を過剰履修したり、良い成績が見込めない科目に関しては途中で放棄したり、あるいはわざと不合格になるなどの学習行動が常識化した。
また出席を取らない授業には出ないなどの、およそ修学目的からずれてしまった状況も多く見られた。
また不合格科目が反映されないことで、不合格科目がある学生とない学生の区別がつかず、最終的には同じ成績になってしまう不平等も生まれていた。

 

学生の過剰履修現象については、大学側はそれを授業へのニーズと誤って受け取ってしまい、必要以上の科目を準備するなどのカリキュラムの無駄も生じていた。

 

またレターグレードについては、大学ごとに基準を設けている場合もあるが、多くは各教員の裁量にかかっており、実際は教員の力量や主観に左右されてしまうという不合理性や曖昧さも生じていた。

 

日本では1990年以降、急速に進む少子化と、それとは逆方向に動いた大学・学部の新増設、また経済の成熟化に伴う就職難ないしは就職回避といった時代環境の中で、大学の置かれる立場が大きく変わってきた。
それまでの限られた人の為に存在し、「まどろみのなかでの安寧な教育環境」だった立場から、多種多様な学生へと開かれた全人的な場所へと変化してきた。
それに伴い、従来の学部や科目ごとに偏よりがある成績評価方法では、対応しきれなくなった。
従って、より正確な評価方法、各大学間で互換性のある評価方法、教育の質を高める評価方法が求められる時代になってきている。

 

参考文献

『GPA制度の研究』(半田智久 著)